◎クラリネットソナタ
op.82 Sonate für Klarinette und Klavier
Moderato assai
Quasi allegretto - Quasi Adagietto
Allegro non troppo ma con brio
作曲年月 2013年3月
演奏時間 20分
楽器編成 クラリネット、ピアノ
委嘱 木原亜土(Cl)
初演 木原亜土(Cl)、西澤健一(Pno)/2013年12月・東京 サロン・テッセラ 木原亜土クラリネットリサイタル
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自分で演奏したい楽器という意味で、いちばん好きな楽器はクラリネットだ。
震災の年。クルーズの仕事をした折、船の片隅で誰の邪魔にもならないようにひとりジャズを吹いているクラリネットの奏者がいて、逃避行のような彼の仕事に、僕はずいぶん憧れた。
ブラームスは、彼のソナタ(作品120)の献呈者であるリヒャルト・ミュールフェルトを「プリマドンナ」と形容したと伝わる。ミュールフェルトという人は、女性ではないどころか作曲者と負けず劣らずの髭づらの大男だが、この楽器の女性性ともいうべき艷やかな声色を想うとき、ブラームスがそう言わずにいられなかった気持ちが、わかる気がする。
2013年3月、僕の大学時代の同級生である木原亜土君の委嘱で作曲。同年12月、彼のリサイタルにて、僕自身のピアノで初演した。