2013年1月31日木曜日

学生たちの時代


◎学生たちの時代
op.80 L'Époque des étudiants
作曲年月 2013年1月
演奏時間 13分
楽器編成 オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット、ピアノ
委嘱 藤田乙比古(Hr)
初演 関水萌子(Ob)、広原利江子(Cl)、吉本康(Fg)、藤田乙比古(Hr)、瀬川裕美子(Pno)/2013年4月・東京 東京文化会館小ホール

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 この曲を書く前に、僕は自分の学生時代を回想する文章を書いていた。
 地方出身の同級生宅にたむろし、毎日のように夜通し即興をしては玄関のドアを誰かに蹴られる。迷惑このうえないが、ただただ音楽に貪欲な学生たちの物語だった。
 そのせいか、真面目で拡張高いソナタを書こうとと背を正して五線紙に向かったのに、音符たちは僕の言うことをちっとも聞いてくれず、勝手にボイコットし、勝手にサボタージュし、勝手にロマンスを繰り広げては、勝手にピアノで伴奏し勝手に大声で歌い始めた。僕はかなり抗ったが、勝てなかった。
 ああそうか、あの頃の文章を書いたから、あの頃のあいつらが悪さをしたに違いない。七転八倒のすえ生まれた脳天気な息子に「学生たちの時代」と名付けると、たしかに、ここには僕の見てきた「あの頃」が記録されているように思えた。